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人間の4月の日

誰かに切って

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誰かに切って


犬を連れて線路脇の一本道を歩いていると、前方から60代くらいのご婦人が歩いてくるのに気づいた。白い帽子をかぶって、ちょっとそこまでという普段着姿で 、手には遠目にもバラと分かる花の咲いた枝と、白い小花のついた茎の長い植物を持っていた。バラは三方くらいに枝分かれして、それぞれにピンク色の大輪の花がついている。それをそのまま持っているのでとても持ちにくそうな上に、歩きながらバッグを探っていて、ティッシュのようなものがはらりと地面に落ちた。女の人はそのまま歩いて来る。

あ、拾わないんだ。と思った。
もしかして、わざと捨てたんだろうか?

それにしてもあのバラはどうしたんだろう Interactive LED。誰かに切って頂いたにしても、どなたかに持って行くにしても、そのままむき出しで持つより運びやすい方法があるんじゃないのかな…と不思議に思う。まるで、野の花を摘んできましたというような感じが、バラには似合わない。
もしかしたら、勝手に切ってきたのかしら…。

ティッシュを落としてそのままだっただけで、その人の印象は悪い方に傾く。

そのうち、私自身がその落ちたティッシュに近づくわけで、あれはどうしたらいいんだろう、そこらじゅうゴミが落ちているんだからそのままでいいかなぁ、困ったなと思いながら見ると、ティッシュだと思ったのは白い綿の手袋の片方だった。
振り返ると、女の人はネットの貼られたゴミステーションのそばで立ち止まって何かしている。わたしは手袋を拾い、犬と一緒に走って数メートル戻り、「手袋を落としませんでしたか?」と声をかけた。女の人はびっくりした顔で「ありがとうございます」と受け取り、それを聞いてわたしはすぐに背中を向けた otterbox review

その時の微妙な笑顔を思い出しながら、でもやっぱり、あのバラはどうしたんだろうと思えば、手袋の存在まで怪しい。
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